「では、ありがとうございました」
そう言い、ペコリと頭を下げて、彼女は部屋から出て行った
先程まで響いていた心地よい声が、消えていく
ドサッとソファに腰掛ければ
この部屋には不似合いなシャボンの香りが、ふわっと漂う
きっと、シンジョウの香りなのだろう・・・
そう思うと何故か分からないが顔がほころぶ
だが、不快感は無かった
杖を振り、魔法で紅茶を一杯出した
ミルクや砂糖は入れずに、そのままゆっくりと口へと運ぶ
暖かい紅茶が咽をつたって、体が熱を帯びる
「我輩は、一体何をしているんだ・・・」
最近思うは、ハッフルパフ生のシンジョウの事
魔法薬学が優秀というだけで、他にパッとした所は無い普通の少女
誰も自分の声に答える事は無いのは分かっているのに、問わずにはいられない
「ただ、怪我を酷くさせてしまったから」
―――治療はマダムの仕事だ
「我輩の授業を飛び出したから」
―――そんなもの、注意するだけで良い
「傷が残ってしまうかもしれない」
―――他人だ、関係無いだろう
毎回出るのは言い訳染みた自答
その答えに納得できていない、自分の心
いくら考えても、正しい答えなんて出てこなかった
「馬鹿馬鹿しい」
こんなのは自分らしくないと、自嘲な笑いをこぼす
そしてカップを消し去り
ソファから立ち上がって、バスルームへと足を進めた
自分は生徒に好意を抱いている、という馬鹿げた想いを流し去る為に・・・